INO ARTISTS VILLAGE - Haruko Sasakawa solo exhibition ROBOTS

Haruko Sasakawa solo exhibition ROBOTS

10947200_355040454702241_5117649940032075934_n.jpgHaruko Sasakawa solo exhibition
ROBOTS

2015年5月8日(金)?24日(日) →会期延長 | 31日(日)まで(27、28日は休廊)
11:00-19:00 会期中無休
会場|Yoshimi Arts 〒550-0002 大阪市西区江戸堀1-8-24若狭ビル3F

笹川治子は、この社会で起こる出来事に対し批評的な視点を持ち、それらを物でトレースすることによって可視化します。現象を様々な局面に置き直し、脱力させたように表現することでリアリティーを表出する試みをしています。

今年の3月、アートフェア東京の弊廊ブースでの個展「AD」で笹川は、平面と立体による参加型インスタレーションを発表しました。近年、戦争画をテーマに掲げている笹川は、過去の戦争画について研究する中で、独自の視点から未来の戦争画を想像しました。例えば戦争画はアドバタイズメントとしてよりポップなものへ近づいていくと仮定しました。平面作品にはモデルの人物が一見楽しくピクニックをしているように見える画が描かれ、一方ではその画に描かれている状況を現実の物体に置き換えたセットが組まれています。展示ブースはアミューズメントパークの撮影スタジオ風に仕立てられ、そこで多くの鑑賞者が楽しいピクニックを演じ記念撮影を行いました。しかし楽しいピクニックという空想の世界は、ややもすれば気づかぬうちに現実の戦争へ導かれるきっかけになるかもしれないことを作品は示唆しています。

空想と現実の境界は笹川が制作活動の初期から持ち続けているテーマです。2009年に初めて発表した、「うつろ戦士」。通常頑強で勇ましく表現されるロボットを透明のビニールという柔らかい素材に変換したこの作品は、その後、2011年のグループ展「floating view "郊外"からうまれるアート」(トーキョーワンダーサイト本郷)で再び登場しています。薄い膜で象られたロボットは空想と現実を曖昧にし、虚構に対する認識の有様を意識させます。また、コンピューターグラフィックスで作成したロボットをビニールの立体物に置き換えて、川に流した様子を写真に撮った作品「ポリゴン氏」(2009)も、空想の世界のロボットを現実に引き出す試みです。

今回の個展では、「うつろ戦士」を中心に作品を再構成した展示を行います。アニメやゲームなどで頻繁に登場してきたロボット達は、科学技術の進歩により実際に現実世界でも誕生し、私たちの身近なものになりつつあります。空想が現実になるような今だからこそ、笹川治子によるロボット達は新たな何かを物語ってくれるかもしれません。